こころの健康コラム【vol_04】
第四回「タバコの功罪」
タバコについては、肺がん、心臓病や副流煙など健康への害が指摘されていて、最近では保険診療で、禁煙治療が行われるようになりました。熊本市では路上禁煙の動きもあります。愛煙家にと っては肩身が狭くなる一方です。
ところでタバコとは百害あって一利なしの存在なのでしょうか?私の診察室でも、健康のためタバコをやめたいけど、ストレスでかえってタバコの量が増えてしまっているなどといわれる患者さんがたくさん居られます。確かにタバコ を吸うと気分が落ち着くし、頭がすっきりします。ある研究では、タバコには、眠いときには覚醒度を上げ集中力を増し、覚醒度が高すぎるときには覚醒度を下げてリラックスさせる作用があるという結果が出ていました。そういう意味ではタバコは、気のせいでなく 実際に安定剤のようにこころに作用する面はあるようです。
しかし、作用の割には副作用(害)が強すぎます。一昔前、タバコを吸う人には、アルツハイマー病になる人が少ないというデータがあり、喫煙がアルツハイマー病の予防に役立っているといわれている時期がありました。その後の調査で、喫煙者は喫煙のため寿命が短くなるので、アルツハイマー病にかかる前に死んでしまう人が多いのがその理由だったことがわかりました。なんとも恐ろしい話です。
実は、私も度重なる失敗の末に8年前より禁煙が継続中です。 私の豊富な失敗経験から、絶対にタバコがやめられる方法をお教えします。それは、禁煙始めたら「最初の1本を吸わない」ことです。当たり前すぎてばかばかしいようですがこのことだけ考えて徹底的にこのことを守れば禁煙は必ず続きます。お試しあれ。
[My First Seat ~私の特等席~ 2007.夏秋 掲載]